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  1. アルコール依存症の原因と家族ができる支援や接し方の注意点

アルコール依存症の原因と家族ができる支援や接し方の注意点

更新日 2024.11.21
健康・メンタルヘルス・気分
うららか相談室

お酒を飲むと楽しい時間を過ごすことができて、嫌なことを忘れられる、そんな人は多いですよね。しかしそこから、お酒を飲む日や量がどんどん増え、お酒がないとやってられない、お酒を飲まないとイライラしてくる、といったことになっているのであれば、それはアルコール依存症かもしれません。アルコール依存症は、精神的も身体的にもアルコールに依存してしまっている状態で、アルコールのことばかり考えるようになってしまいます。

では、アルコール依存症になるとどうなってしまうのでしょうか。また、家族にアルコール依存症の人がいる場合はどのようにしたらいいのでしょうか。

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目次

- アルコール依存症とは

- アルコール依存症になる原因と進行ステージ

- アルコール依存症の症状・サイン

- アルコール依存症の治療法

- アルコール依存症の人が家族にいたら

- まとめ

アルコール依存症とは

アルコール依存症とは、時間や場所を選ばずにどんなことをしてでもアルコールを飲みたくなる依存症のことで、日本には80万人以上の患者がおり、病院には行っていないけれど予備軍と考えられる人は推定で440万人もいるといわれています。自分はお酒に強いから、とお酒をたくさん飲む習慣があると、次第に飲む量が増えていき、アルコール依存症に陥りかねません。


アルコール依存症は悪化すると、自分の健康を損なうだけでなく、家庭や周囲との関係が崩壊したり、仕事を失うことにもなりかねません。

アルコール依存症は突然としてなるものではなく、10~20年かけて次第に依存症になるといわれています。早期発見をして、身体に悪影響が残らないように早めに治療をするのが望ましいです。

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アルコール依存症になる原因と進行ステージ

アルコール依存症は、以下のような段階を経て進行していきます。


1.飲酒習慣ができる

まずは、飲酒習慣ができることから始まります。ストレスがたまっていて、お酒を飲むことで嫌なことを忘れられたり、楽しい気持ちになれたりするから、といった些細な理由で、お酒を飲む回数が増えていきます。最初は、飲み会や友達とご飯を食べるときにお酒を飲むくらいだったのに、一人で飲みに行ったり、家でお酒を飲んだりすることが増えていき、飲酒習慣ができてしまいます。


2.お酒に耐性ができる

飲酒習慣が続くと、アルコールに耐性ができていき、同じ量のお酒では酔わなくなっていきます。よく、若い頃からお酒を飲んでいたら多く飲めるようになった、という話がありますが、それはアルコールに耐性ができたからです。


3.飲酒量が増える

お酒に耐性ができると、同じ量ではだんだん酔わなくなってくるので、次第に飲酒量が増えてしまいます。飲酒量が増えると、飲酒時の一部の記憶を失う「ブラックアウト」が起きることがあります。このブラックアウトが頻繁に起こると、アルコール依存症の初期症状を疑った方がいいでしょう。


4.精神的に依存する

習慣的にお酒を飲むようになり、飲酒量も増えていくと、「ほろ酔いだけではもの足りない」「つい飲みすぎてしまう」といったように、飲酒のコントロールができなくなります。飲酒のコントロールができなくなったら、精神的に依存している状態で、お酒を飲むことばかり考えてしまったり、お酒以外のことに関心がなくなったりします。また、お酒を数時間おきに飲み続け、アルコールが体内にある状態が続く「連続飲酒」を行うようになります。


5.身体的に依存する

アルコールが体内にある状態が長くなると、脳はその状態が通常と判断するようになるため、アルコールが切れるとイライラしたり、不安になったり、手が震えたりする離脱症状が出るようになります。この離脱症状がでてくるようになったら、身体的に依存している状態です。離脱症状をおさえるために、またお酒を飲むというサイクルを繰り返してしまいます。


6.日常生活に問題があらわれる

精神的・身体的に依存すると、次第に日常生活に問題があらわれはじめます。常にお酒のことを考えずにはいられなかったり、お酒を飲まないと離脱症状が出てしまったりするため、仕事や予定があっても飲酒を優先するようになります。また、離脱症状が出ると、イライラして周りの人に当たってしまうことがあります。これらのことで信頼を失って、周囲から距離を置かれるようになります。


アルコール依存症の症状・サイン

アルコール依存症の症状やサインに、お酒の量や飲むタイミングをコントロールできない「飲酒渇望」や、いつもお酒を飲まないと落ち着かない状態になっている「連続飲酒」という状態が挙げられます。例えば、仕事中や出勤前、あるいは友達とお茶をするなどの、お酒を飲むべきではないときにもお酒を飲んでしまったり、昼から何杯も飲んでしまうなど、飲み始めると量をコントロールできなかったりするのはアルコール依存症の症状・サインです。これらが悪化すると、仕事で遅刻や欠勤が多くなったり、ときに飲酒運転をしたりすることがあります。


アルコール依存症患者がお酒を飲めないときにあらわれる離脱症状には、以下のようなことが挙げられます。

・手の震え・睡眠障害・不安・抑うつ・焦燥感・けいれん・幻聴・幻覚・妄想

ただし、アルコール依存症を抱える人の多くは、上記の兆候があるにもかかわらず症状として認めなかったり、お酒を飲んでいないと嘘をついたりする傾向があります。

こうしたことから、家族などの対人関係に問題を生じたり、ときに暴力事件などに発展することがあります。


また、飲酒量が増えたり、低栄養状態になったりするため、肝臓障害や糖尿病、高血圧などの身体的な病を抱えやすくなります。身体の不調を治さなければお酒が飲めないという状態になると、多量飲酒の事実を隠して身体治療を受けることを望む傾向があります。ここでようやく多くのアルコール依存症患者が、専門医療機関につながれることになります。

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アルコール依存症の治療法

アルコール依存症の治療は、特効薬などがあるわけではありません。精神的・身体的にアルコールに依存している状態から立ち直らせるためには、アルコール依存症を専門とする医療機関で治療をする必要があります。


多くの場合は、まずは入院をし、断酒をします。脳が「お酒を飲んでいない状態が正常」と判断できるように、身体からアルコールを抜きます。その際に、離脱症状を和らげるために服薬を行います。心理教育とカウンセリング精神療法を活用し、飲酒の問題や現実を認識することで、断酒の決断を促します。また、抗酒薬の投与も開始します。抗酒薬を服用した状態で飲酒をすると、身体に不快な反応が起こって気持ち悪くなるため、断酒しやすくなります。


心身の状態が比較的安定してきたら、入院ではなく通院に切り替えて治療を続けていきます。抗酒薬の投与は引き続き行い、アルコール依存症患者の自助グループへ参加することで、禁酒を継続できるようにします。


安定してきたからといって、節度をわきまえた飲酒をするということもできません。少しでも飲酒すれば再発してしまうのがアルコール依存症の重大な特徴だからです。

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アルコール依存症の人が家族にいたら

ではもし、家族の中にアルコール依存症の人がいたらどうするのがいいのでしょうか。


◇知識をつける

まずは、アルコール依存症についての知識をつけましょう。アルコール依存症になるステップや、アルコール依存症の人がどんなことで苦しんでいるのか、といったことのついての知識があると対応しやすくなり、アルコール依存症の人にとっても頼りやすくなります。依存症は、本人がやめたいと思っていてもやめられない状態です。やめたいと思っているのに、家族からその状態を理解されないでいると、やりきれない気持ちやストレスから、さらに飲酒に走ってしまう可能性があります。まずは、アルコール依存症とはどんな依存症なのか、家族の方も知ることから始めてみましょう。


◇自分の心身を守る

アルコール依存症の人は、ときにお酒を飲むためなら暴力をふるったり、周りに暴言を吐いたりすることがあります。そのようになってしまったら、自分の心身を守るようにしましょう。特に子どもは心に影響を受けやすいので、児童相談所や保健所に相談するなどしてください。


◇治療や自助グループへの参加を勧める

アルコール依存症は、早期に治療に取り掛かることができれば、治療は手短に終わります。重篤化していると、アルコール依存症の治療に時間がかかる上に、アルコールによって引き起こされている合併症の治療が必要になるかもしれません。本人は否定するかもしれませんが、早く治療に取りかかったほうが、より短い治療で済むということを説明したり、自助グループに参加することで同じ悩みを抱えている人と励まし合えることを説明し、治療や参加を勧めるようにしましょう。


◇味方をつくる/家族の自助グループへ参加する

アルコール依存症は、本人もつらいですが、家族もつらい思いを抱えています。夫婦喧嘩が増え、アルコール依存症で仕事に行けなくなると、家計にも大きな影響が出てくるでしょう。また、家族にアルコール依存症の人がいることを周りに相談できず、悩みを抱え込んでしまいやすいです。アルコール依存症の家族の自助グループに参加したり、カウンセリングを受けるなどして、自分の話を聞いてくれる味方をつくりましょう。


◇イネイブリングに注意する

イネイブリングとは、アルコール依存症の人がお酒を飲み続けられるように助長してしまう周囲の行為のことです。例えば、二日酔いで起きれず仕事に行けない本人に代わって会社に電話をかけたり、アルコール依存症の人が怒りだすのが怖くてアルコールを勧めてしまったりする行為です。責任を肩代わりしてしまうことで、アルコール依存症の人が痛みや後悔を感じにくくなるので、アルコールを飲むことを促してしまいます。イネイブリングは相手のことを大切に思うがゆえに起きやすく、「助けたい」という思いが強いほど悪循環に陥ります。イネイブリングがアルコール依存症の治療を遅らせてしまうことを自覚して、本人に責任を取らせるようにしましょう。治療中にお酒についての話をしたり番組を見たりすることも良くありません。

まとめ

最初はストレス発散のためにお酒を飲んでいただけなのに、飲酒習慣がついて飲む量が増えることで、様々な問題を引き起こします。アルコール依存症は症状が進むについて、治療も大変になっていきます。自分がそうではないかと少しでも思い当たる節がある、家族や友人がアルコール依存症なのではないかと気になる、という場合は、一度医療機関などで専門家に相談するようにしましょう。

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(参考)

アルコール依存症|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_alcohol.html

アルコール依存症|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_alcohol.html

連続飲酒 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-029.html#:~:text=%E5%88%9D%E3%82%81%E3%81%AF%E3%80%81%E9%85%94%E3%81%84%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81,%E7%90%86%E7%94%B1%E3%81%AF%E3%81%93%E3%81%93%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

アルコール依存症の薬物療法 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-05-005.html

兵庫県精神保健福祉センター(2015), Repeat~りぴぃーと~ ‐アルコール依存症からの回復‐

依存症のカウンセリング
このコラムを書いた人
オンラインカウンセリングうららか相談室運営スタッフ
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