20代、30代の頃となんだか体調が違うと感じたことはありますか?疲れやすくなったり体力の低下を感じたり、加齢の影響を感じることも少なくないでしょう。ホルモンバランスが変わる40代、50代以降では更年期の影響がたくさんあります。イライラするようになったり落ち込みやすくなったり、気持ちにも変化があるでしょう。ここではそんな更年期のメンタルヘルスについて解説していきます。
目次
- 更年期うつの症状
- 更年期うつの原因
- 最後に
女性の多くは、50歳前後で生理が止まる「閉経」を迎えます。この閉経をはさんだ前後5年の約10年間を更年期と呼びます。この時期は卵巣機能の低下から女性ホルモンの分泌量が減少することで、さまざまな不調が起きてきます。(引用 タケダ薬品 https://rubina.jp/)
更年期は女性なら誰もが経験する時期であり、からだが変わる時期です。
臨床心理士とは・・・
悩みを抱える人との対話をベースに、精神分析や心理療法を使って問題の解決をサポートする「こころの専門家」です。
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更年期にはうつや不安の症状が出現します。女性ホルモンのエストロゲンが減少することで脳の視床下部や下垂体機能に変調をきたし、自律神経が乱れたり、精神神経症状が起こります。更年期うつでは以下のような症状がみられます。
①部屋の掃除や洗い物に手が行き届かない
それまできっちり家事をしていたのに、なんだか億劫になってしまうことがあります。うつの症状でやる気が起きなかったり倦怠感があらわれたりすることが要因です。
②集中力が続かなくなる
読書やPC業務などになかなか集中できなくなります。文章を読んでいても頭に入らないという感覚です。
③動きや話し方が遅くなる、またはソワソワして落ち着かない
考えがまとまりにくくなるため、会話のテンポが遅くなりやすいです。体が重くだるいような状態になり、動きも遅くなります。
④自分自身や家族に申し訳ないような気持ちになる
「こんな自分で申し訳ない」という気持ちが芽生え、このままではいけないような焦燥感に駆られます。
その他、不安でたまらなくなったり、落ち込んだ気分が続いたりする症状が出ることもあります。
カウンセラーと一緒に、更年期の不調の克服に取り組んでみませんか?
うららか相談室では、あなたの「克復したい」という気持ちを、臨床心理士などの専門家がしっかりとサポートさせていただきます。
これまで述べてきたように、更年期は変化が起きる時期です。エストロゲンの減少による脳の変化はきっかけのひとつであり、うつの要因には様々な変化があります。
①子育てが終わったことによる喪失感やストレス
更年期と重なる時期に子育てがひと段落する方も多いと思います。子育てが終わることで向き合わなければいけない夫婦間の問題、人生の課題に気づき、混乱や落ち込みにつながることもあるでしょう。
②閉経や容姿の変化によるショック
閉経することは女性としてひとつの機能の終わりとなります。体にとっても大きな変化ですが、精神的にもショックを受ける方も多いと思います。加齢の影響による容姿の変化を受け入れられない部分もあるかと思います。
③変化を受け止めきれないことによる自己評価の低下
①②の状態は、多くの女性が迎えることであり、自分なりに気持ちを処理しながら人生を歩んでいく必要があります。もちろん、変化があることは決して悪いことを意味しているわけではないのです。しかし、歳を重ねたことによる変化を受け止めきれずに、自分自身の価値を見失ってしまうこともあるでしょう。失われる機能に目がいってしまい、「自分はもう終わりだ」「価値のない人間だ」と思い詰めてしまうことも、うつの要因となります。
更年期障害と更年期に発症するうつには微妙な違いがあります。診断時のポイントは以下のような点です。
①症状が表れた時期・年齢
精神的な症状がいつから表れたのかを判断のポイントにします。40代から50代にかけて、憂うつさや不安感などが徐々にみられるような場合は、エストロゲンの減少による影響が考えられます。
②更年期特有の身体症状を併発しているか
更年期障害には、精神症状だけでなく身体症状もあります。体がほてったり汗をかきやすくなったり、動悸がする場合には更年期障害による精神症状かもしれません。
うつなのか、更年期障害なのか見極めることは、その後の治療に役立てるために必要なことです。抗うつ剤などを用いてうつ病の治療をしていくか、ホルモンを補充することで改善がみられるのか、両方の治療が必要なのか判断する材料になります。
更年期障害による精神への影響よりもうつ病の要素が強いときには、抗うつ剤を用いた治療を行います。それまで精神的な病気と縁がなかった方は、精神症状に対して薬を使用することに抵抗感のある方もいらっしゃいます。更年期うつに限らず、うつ病と診断される場合には服薬治療が非常に有効です。医師に相談しながら、適切な治療を受けましょう。
ホルモンによる影響が強い場合には、ホルモン剤の投与で症状が落ち着くこともあります。
更年期うつにはカウンセリングが有効なこともあります。気分の落ち込みや悲観的な思考を客観的に整理したり、更年期特有の生活の変化と課題について相談したりすることができます。うららか相談室では、更年期の悩みや症状への不安についてカウンセラーに相談することができます。「もしかして更年期かな?」と思ったときはお気軽にご相談ください。
更年期うつは体の変化と環境の変化やライフステージによる悩みが影響し合うことで発症しやすくなります。自分自身の体と心について知ることや、ライフステージに合わせた悩みの解決法を考えておくことが予防につながります。誰もが迎える更年期ですが、それぞれの人生経験が異なるため、身近な人に相談しても思うようなヒントを得られないこともあるでしょう。視野を広く、変化に対してどのような対応をしていくか、更年期を迎える前に心の準備をできるとよいですね。カウンセリングのなかで更年期の心配ごとをあらかじめ整理しておくこともおすすめです。
更年期は女性であれば誰もが迎えるものです。年を重ねることを恐れずに、それぞれのライフステージに合った楽しみをみつけていくことが大切だと思います。変化の中に、これまで見つけられなかった充実感を得られるとよいですね。みなさまを応援しております。
参考サイト
更年期ラボ https://ko-nenkilab.jp/
更年期障害とうつ病の違い—見極めのポイントは症状のあらわれ方 アイラシイ 働く大人の女性医療メディア https://www.ilacy.jp/remi/post_190618.html