生きていれば、楽しいことばかりではなく、悲しい気持ちになることもありますよね。悲しみからすぐに立ち直ることができればいいのですが、そう簡単にいかない方も多いのではないでしょうか。悲しい気持ちを引きずったままでは、仕事や勉強にも集中しにくかったり、何事も楽しめなくなったりするかもしれません。
今回は、悲しい気持ちになる原因や、対処法などについてご紹介しますので、この記事が悲しい気持ちを解消するきっかけになれば幸いです。
目次
- おわりに
悲しい気持ちになる原因や理由はさまざまですが、主な原因として、以下のようなことが挙げられます。
・失敗したとき
失敗をすると、「自分がダメなんだ」と自己否定をしてしまったり、失敗した場面を何度も思い返したりして気分が落ち込み、悲しい気持ちの原因になります。「あんな失敗をしなければ…」と後悔したり、「また失敗をしたらどうしよう」と不安になったりして、失敗を引きずってしまうこともあります。
・裏切られたとき
「パートナーに浮気をされた」「仲の良い友人が陰で自分のことを悪く言っていた」「仕事で他人のミスを自分のせいにされた」など、裏切りにもさまざまな状況がありますが、相手への信頼度が高ければ高いほど、裏切られたときのショックは大きくなり、悲しい気持ちの原因となります。
・挫折したとき
目標に向けて努力していたにもかかわらず、達成できなかったときも、悲しみという感情が生まれやすいです。受験や就職の失敗などがわかりやすい例ですが、これまで必死に頑張ってきたことが途中でダメになってしまうと、心が折れて、悲観的になってしまうことがあります。
・大切な存在を失ったとき
家族・恋人・友人・ペットなど、自分にとって大切な存在との別れは、深い悲しみを生じさせます。最も重大な喪失の一つが「死別」ですが、喪失には失恋や離婚なども含まれます。自分にとって大事な存在であればあるほど、喪失による悲しみの度合いは強くなり、時間がたってもふとした瞬間に思い出し、悲しくなってしまうこともあります。
悲しい気持ちになる主な原因についてお伝えしましたが、特に思い当たる理由もなく、なぜか悲しい気持ちになったり、長期間悲しい気持ちから抜け出せなかったりする場合は、以下のような病気の可能性も考えられます。当てはまる症状がある場合は、無理をせず、早めに医療機関やカウンセラーに相談しましょう。
・うつ病
うつ病とは、気分の落ち込み、抑うつ、意欲の低下などの精神的な症状のほか、不眠、食欲不振、倦怠感など、身体的な症状が現れることもある病気です。うつ病になると、悲しい気持ちが深刻な状態になり、何事にも意欲が湧かず、無気力な状態が長期に渡って続くことがあります。うつ病の原因は、まだはっきりと解明されていませんが、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な要因が複雑に絡み合って発症するといわれています。
具体的には、以下のような不調が現れることがあります。
・気分の落ち込みが続く
・何事に対しても興味や楽しさが感じられない
・周囲の人との関わりが減る
・身だしなみに気を遣えなくなる
・食欲がない
・眠れない、過度に寝てしまう
・体がだるい、疲れやすい
・頭痛や肩こり
・動機やめまい
・適応障害
適応障害とは、職場・学校・家庭など、特定の環境において、強いストレスをきっかけに心身に不調をきたす病気です。抑うつ、意欲の低下、不安症状、不眠、食欲不振など、様々な症状が現れることがあります。
適応障害は、原因となるストレスから離れると、症状は次第に改善します。そのため、まずはストレスの原因となっている環境を特定することが重要です。ストレスの原因から離れられない状況で無理を続けていると、症状が悪化したり長引いたりすることがあるため、注意が必要です。
具体的には、以下のような不調が現れることがあります。うつ病と似た症状も見られますが、ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から離れると、症状は次第に改善する点が異なります。
・悲しい気持ちになる
・無気力になる
・思考力・集中力が低下する
・涙が止まらない
・倦怠感
・食欲がない
・頭痛や肩こり
・不眠
・過呼吸
次に、悲しいときの対処法について、いくつかお伝えしていきます。少しずつでも前向きな気持ちになれるよう、参考にしてみてください。
・思いっきり泣く
元気なふりをしたり、悲しい気持ちに蓋をして抑圧してしまうと、いつまでたっても悲しい気持ちが消えず、心の中に残ってしまいます。悲しみがなくならないときは、気が済むまで泣きましょう。涙には、ストレス成分を低下させる作用のある成分が含まれているといわれています。泣くことで気持ちがスッキリとして、リラックス効果が得られ、ストレス解消にもつながります。
・信頼できる人に話を聞いてもらう
悲しい気持ちを自分の中に抱え込まずに、誰かに打ち明けることで、気持ちが軽くなることがあります。言葉で表現することで、自分の気持ちを整理することができ、悲しみを癒すことにつながります。家族や友人など、信頼できる人に話すのがおすすめですが、身近に話せそうな人がいない場合は、自分の気持ちを紙に書き出したりするだけでも、自分の心と向き合うことができ、気持ちを整理することができるかもしれません。
・趣味や好きなことに没頭する
趣味や好きなことに没頭するのも、悲しい気持ちから立ち直るための方法のひとつです。悲しい気持ちを無理に忘れようとする必要はなく、一旦置いておくくらいの気持ちで、好きなことに集中してみましょう。本を読む・音楽を聴く・映画を見る・ゲームをする・絵を描く・旅行をするなど、自分の好きなことに没頭して、心地よさや感動を味わうことで、しだいに悲しい気持ちが和らぎ、心の安定を取り戻しやすくなることがあります。
・体を動かす
気持ちが沈んでいると、何もせずにじっとしていたくなることもあるかもしれませんが、気持ちを前向きにさせるためには、体を動かすことも効果的です。運動をすると、気分がスッキリし、リフレッシュできるほか、脳内で「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌されるといわれています。セロトニンには、気分を安定させたり、ストレスや不安を軽減する効果があるため、悲しい気持ちを解消することにつながるかもしれません。
・マインドフルネス瞑想
マインドフルネスとは、「過去・未来や余計な思考にとらわれず、今、この瞬間に意識を向ける」心の在り方です。心配事や不安な気持ちなど、つい頭に浮かんでしまうことを鎮め、「今」だけに集中している状態を意識的につくっていくのがマインドフルネスであり、その手法として「瞑想」が用いられています。マインドフルネスな状態をつくるためのトレーニングのひとつである「マインドフルネス瞑想」を行うことによって、思考や感情にとらわれず、心の安定や、集中力を得ることができるといわれています。
瞑想中に悲しい気持ちがわいてくることもあるかもしれませんが、無理に忘れようとする必要はありません。「ああ、私は悲しいんだな」と、今の感覚をただ受け止めるようにしましょう。自分の感情を客観的に認識することで、感情に支配されず、感情を落ち着かせたり、対処したりすることができるようになるといわれています。
マインドフルネス瞑想の基本的なやり方は、以下の通りです。
はじめは短い時間で5分などと決めて行い、慣れてきたら徐々に時間を延ばしてみましょう。
(1) あぐらや正座、椅子に腰かけるなど、楽な姿勢で座り、姿勢を整えます。
(2) いつもの自然な呼吸に意識を向けます。
(3) 感情や思考が浮かんでも、それを追わずに、意識を呼吸に戻します。
(4) (2)~(3)を繰り返します。
カウンセリングを通じて、自身の内面とじっくり向き合ってみませんか?
うららか相談室では、あなたの「変わりたい」という気持ちを、臨床心理士などの専門家がしっかりとサポートさせていただきます。
悲しい気持ちから抜け出せないときは、カウンセリングを受けてみるのもおすすめです。
悩んでいたり、悲しい気持ちのときには、自分の気持ちがよくわからなかったり、どうしたらいいのかわからなくなってしまうこともあります。カウンセリングでは、自分のことを話し、カウンセラーにしっかり聞いてもらうことで、自分の状況や頭の中を整理するきっかけとなります。そして、自分自身で立ち直り方を模索し、解決への糸口を見つけることができるよう、サポートをすることができます。
また、悩みをカウンセラーに相談することで、自分では気づかなかった考え方の癖や行動パターンに気づき、心が軽くなったり、対処法を見つけやすくなったりするかもしれません。
カウンセリングは、医療機関やカウンセリングルームで受けることができますが、オンラインのビデオ通話や電話、メール、チャットなどを使ったサービスもありますので、自分の状況や希望に合ったものを利用してみましょう。
今回は、悲しい気持ちになる原因や病気との関連、対処法などについてご紹介しました。悲しい気持ちから立ち直るために、今回ご紹介した対処法を参考にしていただければと思います。悲しい気持ちがあまりにも長く続いたり、強すぎる場合は、自分でなんとかしようと無理をせず、医療機関やカウンセラーに相談することも検討してみてください。