仕事は必ずしも長く続けさえすればよいというものではありませんが、主体的な退職やキャリアアップのための転職ではなく、続けた方がいいのに続けられない、すぐ辞めてしまうことでお困りの方も少なくないかと思います。
この記事では、仕事が続かない原因や辞め癖の直し方などをご紹介します。なぜ続けられないのかお悩みの方のご参考になれば幸いです。
目次
- おわりに
はじめに、仕事が続かない原因などについて見ていきましょう。
・職務内容や職場の雰囲気が合っていない
仕事には非常にたくさんの種類があり、また、同じ職種でもその職場によって具体的な仕事内容や雰囲気に違いがある場合もあります。職務内容が自分に向いていなかったり、その職場の雰囲気が合わなかったりする場合は、辞めたくなってしまうのも無理はないでしょう。
・職場環境の問題
そもそも、職場環境自体に問題があるということもあります。時間外労働が多い、思うように休みがとれない、セクハラやパワハラ等の重大な問題はもちろん、人手不足、研修や指導が不十分、分からないことを聞きづらい雰囲気など、労働環境の方に続けづらい要因があり、人が定着しない職場もあります。
・人と関わることへの不安や緊張が強い
職場自体にそれほど問題がなくても、働く側の要因で仕事が続かないこともあります。対人不安や緊張が強い人は、新しい仕事への不安も強くなりがちなので、出勤するだけでも大変なストレスを感じがちです。そして、その職場に慣れるところまでいけず辞めることを繰り返すということもあり得ます。
・自分に自信がない
元々、自分に自信がないタイプも仕事を続けることへのハードルは高くなる傾向があります。最初は分からないことだらけで当然なのですが、分からないことやちょっとしたミスを自分の能力が無いためだと捉えてしまい、さらに自信を失い自己否定感を強め、ここで仕事を続けると職場に迷惑をかけてしまうとさえ思えてしまうこともあります。
・必要な質問や連絡をするのが苦手
人に良く思われたい、仕事ができると思われたい気持ちが強いことが、長続きしない要因となることもあります。
・仕事に対する価値観の問題
人生において仕事の優先順位が低い人、そもそも仕事を長く続けることに価値を置かない人はおのずと転職を繰り返すことになりがちです。
逆に、仕事に強いやりがいや評価を求めるなど、仕事に関する優先順位が高すぎて長く続けるのが難しくなることもあり得ます。
・病気やメンタルの問題
やる気が起きない、朝起きづらい、ひとつのところで安定した生活をすることへの抵抗感がある等、うつ病、適応障害、PTSDなど、何らかのメンタルの問題が背景になっている場合があります。
仕事をすぐ辞めたとしても、経済上・生活上の問題がなかったり、本人や周囲が困らないならば特に問題とは言えないかもしれません。ただ、仕事を短期間で辞めてしまうことにはデメリットもあります。
・辞めることへのハードルが低くなることがある
一度経験したことには未経験のことよりも思い切りが付きやすくなるため、仕事を辞めることへの心理的・行動的なハードルが低くなることがあります。その場合、少し乗り切れば辞めずにいられる可能性を縮小してしまうおそれがあります。
・次の仕事を見つけにくくなる
短期間での離職を繰り返した場合、長く働いてくれない人なのではないかと思われて、次の就職で不利になることがあります。職種や雇用形態によっては、次の仕事が見つけにくくなるデメリットが発生することがあるでしょう。
・収入が安定しない
仕事をすぐ辞めてしまうということは働かない期間が多くなりがちで、当然ながら収入は不安定になります。
状況によっては辞めても失業手当が受け取れて、大きな収入減となはらないこともあります。ただし、一般的に自己都合で退職する人が失業手当を受け取るには、離職の日以前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上あることが条件となりますので、すぐ辞めてしまうと失業手当も受け取れないおそれがあります。
・スキルが定着しづらい
短期での離職を繰り返すということは、その職種の実務経験や日々の業務の中で身につくスキルが細切れになりやすいため、スキルが定着したり伸びたりしづらいデメリットにもつながります。
・自信や自己肯定感が低下するおそれがある
本当はもっと続けたいのに続けられない場合、それでも辞めてしまう自分を否定的に捉えて自信を失ってしまったり、辞め癖がついてしまったらどうしようという不安にかられたりと、マイナスな感情や自己評価を抱いてしまうおそれもあります。
続けたいのに続けられないことが度重なり、仕事の辞め癖ができてしまったと感じる場合、どんな直し方があるのか見ていきましょう。
・問題がどこにあるかを見極める
まずは、辞めたくなる理由が職場にあるのか、それとも自分の中にあるのかを見極めて、それに合った対処を検討するところから始めると良いでしょう。自分だけで考えていても難しいと感じたら、信頼できる人に相談して、客観的に見て職場に問題がありそうか、そうでもないのか聞いてみると、視野を広げてより適切な対策に乗り出しやすくなるでしょう。
・ゆっくり過ごす時間をとる
問題がどこにある場合でも、心身に疲れがたまっていて動き出す気力もないようなときは、まずゆっくり休んで英気を養うことが大切です。
辞める前の段階で、また辞めたくなってしまったときも、すぐに退職はせずいったんお休みしたり、仕事量や勤務時間などを調整したりして、ゆっくり過ごす時間を確保すると、心身に余裕がうまれて仕事から逃げたい気持ちを軽減できる可能性があります。
・仕事の優先度を下げるなど、向き合い方を調整する
仕事に対してやりがいを求めたり、仕事ができることが最重要だと捉えていたりすることが辞め癖の要因になっているならば、仕事に関する価値観や向き合い方をもう少し柔軟にしていくのも、仕事を続けやすくするための一助となるでしょう。
・辞めるのは目標や期間を達成してからにする
辞めたくなったとき、それが一時的な衝動のようなものであれば、いったんはその衝動をやり過ごすのを繰り返していくと、結果的に長続きさせることができます。辞めたい気持ちが一時的に強まってもそのままとどまれば、また仕事を続けてもいいなという気持ちがやってくることもあります。
現在の職場での目標や勤続期間を設定しておき、辞めるのは最短でもそれらを達成してからにするという目安を持っておくのも一手段です。
・できることを徐々に増やして自信を持つ
思うように仕事ができない自分が辛い、自信がなくて居づらいという理由で転職を繰り返す場合、やはり自信を持つことが不可欠です。分からないことやできないことがあって当たり前と捉え、分からないことはどんどん質問してできることをひとつずつ増やしたり、できたことの方に焦点を当てて自己評価を高めたりして、少しずつ自信をつけていけるといいですね。
そうして一日一日を積み重ねていく中で、仕事を続けられる期間が延びていけば、そのこと自体が自信にもつながります。
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自分なりの仕事が長続きしない要因を知り、それに応じた職種や働き方を選ぶと、仕事を続けやすくなります。
・自分のペースでできる仕事
人目を気にしてしまったり、次々とイレギュラーな仕事を振られると焦ってしまう人は、一定の作業を自分のペースでこなせる職種、たとえば事務職、清掃や配送のお仕事などは、比較的続けやすいのではないでしょうか。
・対人場面や新規場面が少ない仕事
初めてのことに緊張や不安を抱きがちな人や、人間関係でつまづくことが多い人は、新規場面や対人場面が日常的にあるような、たとえば営業職などは避けた方がよいかもしれません。決まったことをコツコツと行うルーチンワークの方が安心して働ける可能性が高いでしょう。
・在宅勤務中心の仕事
また、働き方という点で言えば、在宅ワークが可能な職場や職種を選ぶのも良いでしょう。人の目を気にせず、自分の作業に集中しやすいメリットがあります。
仕事が続かないのは能力不足だから、メンタルが弱いからだと思えてしまうこともあるかもしれませんが、職場に要因があったり、今の自分には合わない環境だったりすることも珍しくありません。
仕事は人生や生活の中の一部であり、年齢やライフイベントによって仕事が占める割合が変容するのは自然なことです。今の自分にとって仕事とはどんなものか、どうしたら続けやすくなるのかを考えて合う職場を探したり、一日ずつ勤続日数を積み重ねていけるといいですね。