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  1. 劣等感・コンプレックス克服のための3つのステップについて

劣等感・コンプレックス克服のための3つのステップについて

みなさんにはコンプレックスはありますか?人と話していると、さまざまなコンプレックスに触れることがあります。「背が低い」「目が小さい」「太っている」という身体的なコンプレックスから「学歴が低い」「英語を話せない」など能力に対してのコンプレックスまで、多くの人がコンプレックスを抱えています。コンプレックスを抱えることで、ありのままの自分を好きになれなくなってしまう人もいます。コンプレックスを克服することで自分に自信を持つことができます。ここでは、コンプレックスの概要について解説し、克服する方法をお伝えします。

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目次

- コンプレックスとは

- 劣等コンプレックスと劣等感の違い

- 優越コンプレックスとは

- コンプレックスを克服する3つのステップ

- カウンセリングの活用について

- おわりに

コンプレックスとは


日本でコンプレックスという言葉が大衆的に認知されたのは、平成初期に俗語として「マザコン(マザーコンプレックス)」という言葉が有名になってからです。当時は特定の対象への「執着」という意味でコンプレックスという言葉が使われていました。


古くから心理学、精神医学では精神科医のフロイト「エディプスコンプレックス」という言葉を用いて、幼児期に異性の親に愛着を持ち、同性の親に敵意を向けることを表していましたが、一般的には知られませんでした。その後、心理学者のアドラーが「inferiority complex」という言葉で「劣等複合感情」という概念を広め、今の日本で使われているコンプレックスと同様の意味が広がりました。また、コンプレックスという言葉は「感情の複合体」という意味で用いられています。英語のcomplexには複合という意味があり、シネマコンプレックスなど、複合施設を表すときにも使われていますよね。


このコラムの中では、劣等コンプレックスという他人との比較から生まれる感情に焦点を当てます。

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劣等コンプレックスと劣等感の違い

アドラーは劣等について3つの状態があると捉えました。


①劣等性

劣等性とは、客観的にわかる劣った部分のことです。背が低いことや足が短いことなど、おもに身体的に劣っているとされるもののことです。


②劣等感

劣等感とは、自分の心の中で劣っていると感じる部分のことです。理想のイメージと現実の自分とのギャップに生じるものであり、客観的に見て優れていても本人が劣っていると感じていれば劣等感が生じます。


③劣等コンプレックス

アドラー心理学では劣等コンプレックスのことを「いかに自分が劣っているかをひけらかすことで自分の課題から逃げようとする姿勢」だとしています。過度な劣等感によって、課題から逃避する姿を指しているといえるでしょう。

優越コンプレックスとは


劣等コンプレックスの対義語として優越コンプレックスという言葉があります。自分の過去の栄光や知り合いのすごさなどをひけらかす行動を意味します。自慢話ばかりするので、自分に自信があるように見えますが、これも劣等感が引き起こす行動です。過去の自分や偉大な知り合いについて語ることで、他人を見下し自分を満たそうとしている状態です。

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コンプレックスを克服する3つのステップ

コンプレックスについて理解を深めたところで、克服方法を考えてみましょう。


①自分を受け入れる

いちばん大切なことは自分を受け入れることです。コンプレックスを解消できない理由として、自分を正しく理解できないことが挙げられます。他人のどんなところをうらやましく感じ、自分の何が嫌だと感じているのか客観的に捉えてみましょう。

このとき大切なのは、事実だけを整理することです。例えば、「太っている自分が嫌だ」と感じている場合は、「太っている」もしくは「平均以上に体重がある」ことに焦点を当てます。「ダイエットできない自分は怠けている」「太っているとすべてが悪くみえる」など、主観が入ってしまうものは避けましょう。前述の劣等の3つの状態でいえば、劣等性や劣等感の部分を整理してひとつひとつの事実を並べていきます。コンプレックスの原因である事実を整理すると、複合化した感情が紐解けてきます。まずは今ある状態を受け入れましょう。「ダメな自分」ではなく、人より体重が重いという事実を認めることができると思います。まずはそこからスタートです。


②他人と比較せず、具体的な目標を決める

客観的なコンプレックスの原因を認めたら、理想の自分と現実の自分の差を埋めていく作業に入ります。そのために必要なのは、自分のものさしを持つことです。コンプレックスを生んでいるのは、優れた他人やこうありたいと思う理想、それとは反対の劣っている他人の存在です。「わたしよりあの人のほうができるから」もしくは「あの人に比べたら、自分のほうがまし」という計り方をしていると、周囲の環境によって自分の価値がグラグラと揺らぎます。コンプレックスを克服するには、自分にとってコンプレックスが解消された状態は何なのかじっくり考えてみる必要があります。「体重○○kg」「Mサイズの洋服が入るようになる」など、なるべく客観的で具体的な目標を立てることが大切です。


③克服のために正しい努力をする

現在の自分と具体的な目標を決めたら、理想と現実の差を少しずつ縮めていきましょう。そのとき、大切なのは正しい努力をすることです。コンプレックスを抱いていると、「こんな自分はダメ」「自分がダメなのはあの人のせい」と、自分を卑下することや人を貶めることに努力が向かってしまうことがあります。努力して自分を変えるより、そのほうが楽に感じるためです。しかし、それでは理想と現実の差は一向に埋まらず、コンプレックスもより複雑になってしまいます。具体的な目標に向かってシンプルで正しい努力をすることが必要です。

目標に向かうときにはスモールステップを意識しましょう。「夜6時以降は食べない」「10kg痩せる」という極端な目標は、達成できなかったときに「やっぱり自分はダメなんだ」という気持ちを生んでしまいます。せっかく理想の自分に向かってがんばるのですから、目標を達成することで自信をつけられるとよいと思います。「夕食は野菜を中心に食べる」「まずは1kg痩せる」など達成しやすい目標を設定して、達成するごとに目標を更新していけると自信がつき、コンプレックスも解消しやすくなります。ゴールまでの一歩一歩を丁寧に見つめていきましょう。

また、コンプレックスの克服には認知行動療法という心理療法が役に立つことがあります。

認知行動療法とは出来事に対する自分の捉え方(認知)や行動パターンを把握したり見直したりする治療法です。例えば、コンプレックスに対しては、「こうでないと意味がない」「これができないと生きている価値がない」という極端な認知に気付き、現実に即した行動に変えていくといったことが挙げられます。行動を変えていくものが多いので、心理療法のなかでも取り組みやすい方法です。

カウンセリングの活用について

コンプレックスを克服するためには、自分をよく見つめ、客観視することが必要です。ときにはそれが辛く感じてしまうこともあるでしょう。うららか相談室ではコンプレックスと向き合うことやコンプレックスを認めたくない気持ちに寄り添いながらカウンセリングを進めていくことができるカウンセラーが多数在籍しています。ひとりで悩みすぎず、まずは辛い気持ちを相談することから始めてみませんか?

おわりに

完璧な人間なんて世界中を探してもみつかりません。欠点を受け入れたりそれについて悩んだりすることがとても大切です。コンプレックスも含め、自分自身を受け入れられると気持ちが楽になりますよ。うららか相談室でもコンプレックス克服のお手伝いをさせてくださいね。

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<参考文献>

自己受容の概念と測定方法の検討-「ありのままの自己を受け入れる」とは何か‐東京成徳大学臨床心理学研究,19号,2019,1-10 伊藤 翼 吉田 富二男

自己受容尺度短縮版(SASSV)作成の試み 応用心理学研究,1989,板津 裕己

コンプレックスのカウンセリング
このコラムを書いた人
精神保健福祉士
精神保健福祉士取得後、東京都のNPO法人に勤務し、精神障害者を対象としたソーシャルワークを行う。福祉制度や年金、生活保護の相談を多く経験、また、リワーク相談や就労支援を実践してきた。臨床化粧療法士®として容姿にコンプレックスを持つ方にメイクを通してのアドバイスも行っている。
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