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8050問題の悩み。高齢の親がひきこもりの子にできる支援とは?

生活・お金
社会福祉士:行成 ひとみ
2020.02.04

ひきこもりが長期化し、80代の親が50代の子どもの生活を支える「8050問題」。

多くの場合、親の年金だけで子どもを養っている状態です。


高齢の親が引きこもりの子に対してできる支援には、どんなものがあるのでしょうか。

社会福祉士の行成ひとみさんに解説していただきました。

ひきこもりとは

ひきこもりとは、『就学や就労をしておらず、自宅を中心とした生活を送る状況が6か月以上続いている状態』と定義されています(ひきこもり対応ガイドラインより)。

そのきっかけや原因の多くが、人間関係や挫折経験です。例えば、学校でいじめを受け不登校になり、それから引きこもり続けているケース、大学入試や就職活動で失敗し、自信を失ってしまったケース、就職をしたもののハラスメントなどのストレスによって働くことに消極的になってしまったケースなどです。

このような理由があるためにひきこもり状態となってしまった人は、その挫折経験を克服しなければ再び社会へ出ることが大変困難です。

ひきこもり状態の方を支援する機関として「若者サポートステーション」という公的機関が存在しますが、名前の通り若者(おおむね39歳まで)を対象としている機関のため、中高年になったひきこもり当事者の方は利用できません。


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ひきこもりの子に対してできる支援

中高齢になったひきこもりの子に対して、今からできる支援には何があるでしょうか。

以下に、考えられる支援の方法を挙げてみました。

 

・現実的なゴールを設定する

ひきこもり状態の方に対しては、これまで国策として「社会復帰(就職)」が支援のゴールとされてきました。しかし、長年ひきこもっている方に「社会に出なさい」と言うのは非常に酷な話です。そもそも、「社会=就職」という考え方は捨てた方が良いでしょう。

必要なのは、親亡き後でも自分の生活を守ることができる状態をゴールに設定することです。そのために親ができることは、まずは子どものことをよく知ることです。

もしかしたら、うつ病や統合失調症、不安症などの精神疾患を抱えているかもしれません。そうであれば、メンタルクリニックを受診して病気を治す試みから始めなければなりません。メンタル疾患を患っているのであれば、障害年金などの公的支援が受けられる場合もあります。病院へ行くために外出するのも困難な方の場合は、往診をしてもらえるクリニックを探すと良いでしょう。まずはオンラインカウンセリングから始めるのも一つの方法です。

 

自分の生活を守ることができる、ということは生活力をつけることです。例えば買い物に行く、料理をする、洗濯をする、掃除をするなどの家事を、少しずつ委ねてみましょう。その際に重要なのは、ひとりでも生活できるようにするという目標を子どもと共有しておくことです。ただ「やりなさい」と言うのではなく、「就職だとか仕事のことは考えなくてもいいから、ひとりになった時に生活できる力をつけよう」と話を進めるのです。

大きな挫折体験のある人にとって、新しいことに挑戦するのは勇気のいることです。自室のゴミ掃除やトイレ掃除などの簡単で負荷の少ないことから始め、できた事ややろうとした事を認めて感謝を伝えるというスモールステップを踏んでいくことが大切です。

家事をするということは、家族の役に立つということであり、自信の回復にもつながっていきます。


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・家族会や当事者会に参加する

地域には精神保健福祉センターというひきこもり状態の方やその家族を支援する機関があります。そういった機関の家族会や当事者会に参加することも手段として考えてみましょう。

同じ境遇の仲間がいることで、苦しんでいるのは自分だけではないんだという連帯感や、ひきこもり状態から抜け出そうとしている仲間の姿を見ることで良い影響を受けられる可能性があります。

実際に、ひきこもりの当事者会に参加することで意欲が向上したケースは多く存在します。

 

・ライフプランを作る

近年では、ファイナンシャルプランナーとともにライフプランを作ることで、現実を見せることも生活意欲を向上させるために役立つとされています。

親亡き後、住まいはどうするか、収入はどのくらいあれば生活ができるのか、収入源はどうするのか、限られた収入で生活するためには何が必要かを具体的に話し合うのです。

このプランは、例えば子どもに残せる資産がない場合、収入源は生活保護であってもかまいません。ひとり暮らしの場合どのくらい生活保護費が出るのか、その収入だけで生活するにはどのような工夫が必要か、という視点でプランを作成していきます。

プランを現実にできるようにするために、子どもに小遣いを渡してやりくりをさせてみる、簡単な調理ができるように教えるなど、親亡き後を意識して生活力を養っていくことが重要です。


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ひきこもりは「親の責任」ではない

子どもがひきこもり状態になってしまったとき、親は「自分の育て方に問題があった」と考える、またはそう指摘されることがまだまだ少なくないでしょう。

しかし、ひきこもり状態になったいきさつを当事者の方に聞くと、家庭の中よりも、家庭の外に直接的な原因がある場合がほとんどです。

親が面倒を見ているからひきこもり状態が長期化する、という側面はありますが、それは子どもにとって安心して暮らせる場所を提供できているということでもあります。ひきこもり状態の子どもにとって、こうした環境を提供してもらえることは、何よりも大きな支えです。

人は絶対的な安心感があるからこそ、外へ挑戦や冒険に出ることができます。そのための勇気が不足しているためにひきこもり状態となっていきます。

「何度失敗してもいいから、少しだけやってみて。ダメだったら、また戻ってくればいいから。」

こうした勇気づけの言葉が、挑戦の後押しになるかもしれません。

 

いずれにしても、子供がひきこもり状態になってしまったことに親が「自分の責任だ」と責任を感じ、誰にも助けを求めず、家庭の中だけで解決をしようとしても、なかなかうまくいかないものです。

外部の支援機関や、カウンセラーなどと一緒に「これから、何をするべきなのか」を相談していただくことで、開ける道があるのではないでしょうか。

このコラムを書いた人
社会福祉士
機能不全家族、きょうだい児、アダルトチルドレン、貧困、DV、精神障害などの自身の経験から、ピアカウンセラーとして活動。社会福祉協議会での生活困窮者支援、特別養護老人ホーム・地域包括支援センターでの高齢者福祉支援を経験後、社会福祉士として独立。現在は小学生の子の子育てをしながら、名古屋市で借金、生活困窮、家計、精神障害、親子関係、介護、育児(金銭教育)などの個別相談・セミナーを行っている。
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