2024年の厚生労働省の調査(※)では、働く人のうち、強いストレスを感じている方の割合は68.3%であり、働く人が強い不安や悩み、ストレスを感じていることが分かります。
近年、企業にとってメンタルヘルス対策は大きな課題の一つとなっています。メンタルヘルス対策を行うことで、働く人の心の健康が守られるだけでなく、企業にとっても生産性の向上などのメリットが期待できます。では具体的にどんな対策が効果的なのでしょうか。本記事では、企業のためのメンタルヘルス対策について、具体的に解説していきます。
目次
- おわりに
企業のメンタルヘルス対策とは、働く人が心の健康を維持するために企業が行う方法のことです。心が健康な状態とは、単に病気でないだけではなく、心の安全が確保され、前向きに業務ができる状態であると考えられます。
ではなぜメンタルヘルス対策が大切なのでしょうか。企業には「安全配慮義務」といって、働く人の健康を守る義務があります。メンタルヘルス対策を怠り、働く人が健康を損なってしまった場合、「安全配慮義務違反」として責任を問われることになります。
また、働く人のメンタルヘルス対策ができていると、下記のようなメリットもあります。
メンタルヘルス対策は様々な側面から重要であると考えられます。
国内最大のオンラインカウンセリング「うららか相談室」の法人向けサービスでは、悩みを抱える従業員が相談したいカウンセラーを選び、オンラインビデオ(Zoom)・電話・メッセージ・対面形式のカウンセリングをいつでも受けることができる環境を提供できます。
・臨床心理士または公認心理師等の国家資格保有者が対応
・利用件数ベースの料金体系のため、低コストで導入可能。予算に合わせた上限設定も可能。
働く人のストレス要因について、次のような調査結果(※)があります。この調査では、「強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある」と回答した方を100とした際の、それぞれの項目の割合が示されています。
[図1]職業生活におけるストレス等の要因
「仕事の量」が最も高く、次いで「仕事の失敗、責任の発生」、「仕事の質」、「対人関係」、「会社の将来性」、「顧客、取引先等からのクレーム」、「役割・地位の変化等」、「雇用の安定性」、「事故や災害の体験」の順になっていました。昇進・昇格など一見前向きに見える変化も、ストレスに感じることがあることに注意が必要です。
「仕事の量」については、過重労働にならないよう業務量を調整するなど、職場全体での対策が有効です。一方で、「仕事の質」や「対人関係」については、個人によって原因となる内容が異なるため、一人一人のストレスに合わせて対処することも大切です。
メンタルヘルス対策では次のような3段階の予防が基本とされています。それぞれの段階で適切な予防を行うことで、メンタル不調を最小限に抑えることができます。
1.一次予防(未然防止)
メンタルヘルスに関する日常的な教育でメンタル不調を事前に予防する。
(例)メンタルヘルス研修、ストレスチェックでのセルフチェック 等
2.二次予防(早期発見・早期治療)
メンタル不調のサインを早めに発見し、治療に繋げてこれ以上の悪化を予防する。
(例)管理職による声掛け、相談窓口の設置、定期的な産業医面談 等
※リスクがある場合はすぐに医療機関や産業保健スタッフと連携し治療に繋げる
3.三次予防(再発防止)
メンタル不調発生後の見守りを行うことで、再発を予防する。
(例)主治医や産業医との連携、職場復帰後のカウンセリング 等
厚生労働省では、メンタルヘルスケアとして次の4つを挙げています。
セルフケアとして、一人一人がメンタルヘルス対策を行うと同時に、管理職が健康管理スタッフや外部サービスと連携しながらメンタルヘルス対策を行うことが大切です。
国内最大のオンラインカウンセリング「うららか相談室」の法人向けサービスでは、悩みを抱える従業員が相談したいカウンセラーを選び、オンラインビデオ(Zoom)・電話・メッセージ・対面形式のカウンセリングをいつでも受けることができる環境を提供できます。
・臨床心理士または公認心理師等の国家資格保有者が対応
・離職リスクの改善、生産性やモチベーション向上にも効果的
ここからは、具体的なメンタルヘルス対策について紹介していきます。
1.カウンセリングによる心の相談窓口
働く人が抱える悩みや不安、ストレスについて、日常的に相談できる窓口を用意することが重要です。相談対応は、社内の健康管理スタッフが担う場合もありますが、社外の相談窓口を活用するのも効果的です。外部の窓口であれば、プライバシーが守られやすく、安心して相談しやすいという利点があります。カウンセリングは対面で行われることが一般的ですが、近年ではオンラインを含め、さまざまな方法で受けることができます。代表的なオンラインカウンセリングには下記のようなものがあります。
・オンラインカウンセリング(ビデオ通話など)
・電話カウンセリング
・メッセージカウンセリング(チャットやメールなど) など
2.外部通報窓口
メンタルヘルスの悩み以外に、通報や相談が必要な事項があった際に、電話やメールなどで対応するサービスです。社外の窓口であるため、相談者は安心して連絡しやすいという特徴があります。窓口担当者は、相談内容に応じて、必要な範囲で会社に共有します。代表的な相談窓口には、下記のようなものがあります。
・社外通報窓口
・ハラスメント相談窓口
・コンプライアンス窓口 など
3.メンタルヘルス研修
メンタル不調を未然に防ぐためには、日頃からセルフケアやラインケアに関する知識を学んでおくことが大切です。主なメンタルヘルス研修は下記のようなものがあります。
・セルフケア研修:自分自身のケア
・ラインケア研修:管理職の部下へのケア
・ハラスメント研修:ハラスメント予防、対処法
・アンガーマネジメント研修:怒りのコントロール方法
・アサーション研修:感情の上手な伝え方
・傾聴研修:話の上手な聴き方 など
4.ストレスチェック
自分自身や、会社全体のメンタルヘルス状況を把握するために、ストレスチェックの活用が効果的です。ストレスチェックは下記のような活用方法があります。
・個人のメンタルヘルス状況の確認やリスクの発見
・部署や職種ごとのストレス傾向の分析
・高ストレス者への産業医面談推奨等によるメンタル不調予防
5.メンタル不調者への個別対応
メンタル不調者が出た場合には、できるだけ早く社内の健康管理スタッフや医療機関に相談することが大切です。回復には時間がかかることもあるため、あらかじめ支援体制を整えておくことが求められます。社内での対応が難しい場合には、社外のメンタルヘルスサービスを活用し、カウンセリングを受けることも一つの方法です。次のようなタイミングでカウンセリングを活用することが効果的です。
・メンタル不調者の兆しが見られた際
まだメンタル不調にはなっていないが、体調不良や勤怠への影響が出ているタイミングでカウンセリングを受けることで、メンタル不調の未然防止ができます。必要な場合はカウンセラーから、医療機関の受診を提案するなど、メンタル不調のリスク管理が可能です。
・休職期間中
休職中は、職場との連絡を減らし、心身の休養に専念することが一般的です。休職している方は、継続的なカウンセリングを受けることで、孤立を防ぐことができます。カウンセリングの中では、生活リズムの改善や、ストレス対処法の検討など、メンタル不調防止のための方法を身に着けることができます。企業もカウンセリング内容の報告を通して、本人の状況を知ることができ、復職のサポートがスムーズになります。
・職場復帰前
職場復帰前後は、環境変化が大きく、休職していた方のメンタル不調の再発・再燃が最も高い時期と言われています。カウンセリングの中で、本人がメンタル不調に至った経緯や、本人の希望を丁寧にヒアリングした上で、十分な環境調整を行うことが効果的です。再発防止のためには、職場復帰後半年程度、カウンセリングを継続することが望ましいと言われています。
ここまで、具体的なメンタルヘルス対策について紹介していきました。記事を読んでいただいた方の中には「自分の職場ではどんな対策が効果的なんだろう」と迷う方もいらっしゃるかもしれません。企業の状況によって、効果的な対策は異なります。一度、職場のメンタルヘルスの専門家に相談し、具体的なアドバイスをもらうことが有効です。
うららか相談室では、法人向けのカウンセリングや研修など、メンタルヘルス対策にも対応しています。まずはお気軽にご相談ください。
※厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」、2024年