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  1. うつ病になりかけていると感じたときの対処法

うつ病になりかけていると感じたときの対処法

うつ病は、もっともよく知られている精神疾患といっても過言ではありません。身の回りにうつ病の人がいた、あるいは、ご自身がうつに苦しまれたことがあるという方も珍しくないことでしょう。

うつ病はきちんと治療すれば治せる病ですが、できるだけ軽度のうちに対策や治療を始めておくに越したことはありません。そのためにも、うつ病になりかけている段階で対処できるよう、うつ病の初期症状や対策についてお話していきます。

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うつ病のカウンセリング

目次

- うつ病とは

- うつ病の初期症状

- うつ病になりかけていると感じたときの対処法

- カウンセリングでできること

- 家族がうつ病になりかけている場合の対処法

- おわりに

うつ病とは


まず、うつ病とはどんな病気なのか見ていきましょう。


・気分の落ち込み以外にも様々な症状が

うつ病の主な症状には、このようなものが挙げられます。

☑ 抑うつ気分(気分の落ち込み)

☑ 喜びや楽しみが感じられなくなる

☑ 体重の減少または増加、食欲減退または増加

☑ 不眠・過眠など睡眠障害

☑ 気力・集中力・思考力の減退

☑ 自己評価の低下、自分には価値がないという感覚

☑ 希死念慮・自殺企図


一定の診断基準に従って、抑うつ気分や喜びの減退などの主要なものに加え、上記のような症状が2週間以上続いていることが医師によって認められた場合、うつ病と診断されます。気持ちが落ち込む、以前好きだったことが楽しめなくなるなど心理的な症状だけでなく、不眠・食欲不振・頭痛など身体的な症状が出ることもよくあります。


・原因やきっかけは様々

うつ病の原因やきっかけは様々ですが、適切な治療法を考える意味も含め、原因によって以下のように分類することがあります。


【内因性うつ病】

きっかけなどが明確ではなく、遺伝や資質、脳機能の問題などによって症状が出ていると考えられるもの。薬物治療が有効とされる。


【外因性うつ病】

事故等による頭部外傷、認知症や甲状腺機能低下症などの病気、薬剤等による脳の構造的な異常を原因とするもの。


【心因性うつ病】

性格や環境からのストレス、ライフイベント、不安や悩み事などをきっかけに発症するもの。


仕事や人間関係のストレスを原因とするうつ病をイメージする方も多いかもしれませんが、それ以外にも大きなきっかけ等がないままうつ状態に陥るなど、いろんな形のうつ病があります。


・誰でも罹り得る病気

うつ病は心の弱い人がなるもの、と思っている人もいるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。

風邪や癌などの身体的な病気は、予防に努めることはできても、絶対にかからないようにすることはできませんよね。うつ病もそれと同じで、誰でも罹り得る病気です。

精神疾患の一種であり、一時的な気分の落ち込みや気の持ちようでどうにかなる状態とは異なります。

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うつ病の初期症状

うつ病になりかけているときに起こり得る状態をあらかじめ知っておくと、早期治療につながりやすくなります。そこで、初期症状についても簡単にお伝えしておきます。


・集中力の低下や身体症状が出ることも

嫌なことやショックなことがあって落ち込んだり、特に何もなくともなんだか疲れてしまったりすることがあっても、時間の経過とともに回復するなら、それはごく自然な心の動き方ですので、うつ病とは違います。

症状のところでお伝えした通り、うつ病の診断にはほとんど毎日症状がある状態が少なくとも2週間以上続くことが前提となります。いずれかの症状が1週間ほど続いていたら、うつ病の初期症状を疑い、その後も続くか否かによって受診を検討されるとよいかと思います。

上記の症状のほか、意欲が湧かない、物事に身が入らない、今まで楽しんでいた趣味や好きだったことへの興味が薄くなってきた、というような心理的な変化や、わけもなく涙が出そうになる、寝つきが悪くなった、腹痛、下痢、頭痛などの身体的な変化も、うつの初期症状として考えられます。

ただし、うつ病の初期症状がどんなふうに出るかは、人によって差があります。気持ちの動き方・体調やその経過がいつもと違うなと感じたら、無理をしないで後述のような対処をすると良いでしょう。


・うつ病とは異なる「抑うつ状態」「うつ状態」もある

うつ病に似たものとして「抑うつ状態」「うつ状態」という言葉も知られてきましたが、これは、うつ病の診断基準は満たさないけれど、気分の落ち込み、意欲や集中力、楽しみの減退など、原因は問わずうつ様の症状がある状態を指します。

例えば統合失調症やPTSD、発達障害など、別の病気や障害の一症状、あるいは二次症状として無気力や抑うつが出ることもあり、そのような場合はうつ病とはせず、「抑うつ状態」と表すこともあります。

この場合はうつ病の初期症状とは異なりますが、抑うつ状態もできるだけ長引かせない方がいいですから、うつ病の初期症状と同様の対処をする、または、すでに医療にかかっている場合は医師に相談することをおすすめします。

うつ病になりかけていると感じたときの対処法

では、うつ病の初期症状と思われる変化があったとき、どんな対処をすればいいのか見ていきましょう。


・とにかく休む

本格的なうつ病になるのを防ぐには、休養が非常に大切です。できる限り心身を休めるよう心掛けてください。

「みんな忙しいのに自分だけ休むわけにはいかない」「甘えてはいけない」と考えてしまう方もいるでしょう。しかし、これはうつ病や抑うつ状態を招きやすい考え方の癖とも言えます。

調子が良くなったらまた頑張ればいいのですから、うつ病になりかけているときは何も考えずゆっくり過ごす時間を少しでも多く取りましょう。それが回復への近道です。


・生活習慣を整える

うつ病になりかけると、睡眠に乱れが出てくることがよくあります。入眠困難があって翌朝起きるのが辛いことも多いですが、できるだけいつも通りの時間に起きて早寝早起きを心掛けると良いでしょう。

規則的な食生活や軽い運動などをして生活習慣を整えるのも、とても効果的な対策です。


・人を頼る

うつ状態になるときは、ストレス源になっていることについて考えすぎてしまったり、自己否定的な気持ちでいっぱいになったりしがちで、それはとてもしんどいことです。そんなとき、思い切って信頼できる人に話してみることができると、それだけで打開策になることがあります。

仕事の一部を誰かに代わってもらうようお願いする、家族や友人に話を聞いてもらうなど、一人で抱えないようにできるといいですね。


・ストレス源から離れる

うつ病のような状態に至った要因が分かるなら、そこから離れることを検討するのも重要な対策です。

大切な人との死別や進学・就職など大きなライフイベントのように、離れることが難しい要因もありますが、仕事量や人間関係の調整などが可能ならば、大変な状況から一時的に距離を取るのは有効な対処法です。


・医療機関を受診する

自分でできる対処をしても気分や体調が回復しない場合、とりわけ日常生活や仕事・学業・家事育児などに支障が出ている場合は、早めに医療機関を受診すると良いです。早期治療が早期回復と再発の予防に役立ちます。

医療機関にはどうしても抵抗があるという場合は、カウンセラーに相談するのも一手段です。学校や会社に学校医や産業医、カウンセラーが在籍するなら、そちらに相談するのも良い方法です。

カウンセリングでできること


カウンセリングでは、ただ話を聞いてもらいたい、気持ちが楽になる方法が知りたい、など相談者の要望や状態に応じて、カウンセラーがお話を聞きます。


うつ病になりかけるに至った経緯やしんどさなどを、否定されることなくじっくり話すことができ、また、うつ病に関する知識をカウンセラーから得ることもできます。それを通じて、「こんなことで鬱っぽくなるなんて自分が弱いからだ」「私はダメな存在だ」と考えてしまいがちな状態から、「自分だけが悪いわけではなかったんだ」という考えが入る余地ができます。それだけでも、少し楽になることもあります。


抑うつ状態に陥ったり、悪化させたりしやすい考え方のパターンを見出し、それをより適応的・現実的な方向に持って行くための方策(認知行動療法など)を一緒に考えることもできます。


病院に行った方がいいのか迷う場合や、いきなり心療内科は敷居が高いと感じる場合は、受診の必要性なども含めて、まずカウンセラーに相談するのもカウンセリングの使い方の一種です。

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家族がうつ病になりかけている場合の対処法

うつ病はとてもポピュラーな病気ですから、自分のみならず家族がうつ病になりかけることも、誰の身にも起こり得ることです。ここからは、家族がうつ病になりかけている場合、どのようにすればよいのかお話します。


・体調や言動の変化に気づく

うつ病になりかけているとき、本人は自分の異変に気づけないこともしばしばあります。ひどく疲れている様子や活動性の低下など、家族から見ていつもとは違う感じが続いたら、少し気にかけてみてください。

体調や悩み事がないか声をかける、ゆっくり休むよう促すなどの対応は、家族にできる大切なことです。家族に気にかけられても、ご本人は大丈夫ではなさそうなのに「大丈夫」と言ったり、何も話したがらなかったりすることも珍しくないので、そのようなときは無理に聞き出そうとせず、力になりたいと思っていること、話したいことが出てきたらいつでも聞く用意はあることを伝えて見守るとよいでしょう。


・本人の言葉を受け止めつつ現実的な決断は見送る

本人がストレスについて話してくれたり、気持ちを伝えようとしてくれた場合は、遮ったり否定したりせず、お話を受け止めるように聞くことを心掛けましょう。

一方で、現実的な生活が大きく変わるような決断(学校や仕事を辞める、引っ越す、離婚する等)を本人が望んだ場合は、いったん見送るよう促した方が良いでしょう。うつ状態のときは普段のような適切な判断力が弱まっていると言えますので、そのようなときに後戻りできない決断は控えて、回復してから改めて考えて決めることが望ましいです。


・安易な叱咤激励は避けて安心して休める環境を作る

うつ病になりかけている時は、休むことが何より重要です。気兼ねなくゆっくり休養できる環境を家族が用意すると良いでしょう。

家族としては、早く以前のような元気な状態になってもらいたいのも自然な気持ちだと思います。しかし、「早く元気になってね」「気持ちを切り替えて」等の言葉は、励ましのつもりであっても本人には辛く聞こえてしまうケースが多いです。遊びや外出に連れ出そうとするのも、ゆっくり休めない気持ちにさせてしまうおそれがありますので、控えた方が良いでしょう。


・相談や受診につなげる

本人の状態や状況に応じて、可能なら学校や職場のカウンセラー、または医療機関につなげるような声かけができるといいですね。受診に不安がありそうなら、それはどんなところかを聞いて、本人の希望があれば良さそうな相談先・受診先を探す、同行する、事前に不安点を相談先に確認する等のサポートも、家族が取り得るサポートのひとつです。

おわりに

人の心は目に見えないので、うつ病やその前兆が出ている人のしんどさは、なかなか周囲に伝わりづらいこともあります。それがさらに本人を辛くさせてしまいかねないので、本人も周囲も、性格や気の持ちようの問題ではなく病気なのだという適切な理解を持つことが肝心です。

少しでも早く心身を休めて、ストレス源がある場合はそこから距離を取り、適切な相談機関や医療機関に繋がることが、回復への最短コースと言えます。とはいえ、そんなにスムーズにいかないこともあって当然です。焦らず、周囲のサポートや治療を受けながらゆっくり気力を取り戻していきましょう。

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うつ病のカウンセリング
このコラムを書いた人
臨床心理士・公認心理師
心療内科や児童相談センター、学校、被害者支援施設など、多くの現場で相談や心理検査を経験されてきたカウンセラーさんです。親子関係・夫婦関係・子育て・発達障害・ハラスメントやDV被害など様々な相談を得意とされています。
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