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離れて暮らす親の介護の備え。事前に準備しておきたいこととは?

介護
社会福祉士:行成 ひとみ
2020.02.05

両親と別居している場合、親の健康状態に不安や悩みを感じている方も多いのではないでしょうか。


高齢による疾病リスクは、40代から徐々に上がっていきます。死亡要因で見てみると、40代からがんによる死亡が一位に入り、また、50代からはがんに加え心疾患や脳血管障害が死亡要因のトップ3に入り始めます。(※1)

更に、病気以外でも劇場型詐欺のような特殊詐欺に遭うリスクが高まります。2019年の特殊詐欺被害総額は146億1000万円となっており、一日あたり8000万円がだまし取られている計算になります。(※2) 

もし離れて暮らす両親がこういった病気を患ったり、認知症などで判断力が低下したり、介護が必要となった時、私たちはどのようなことができるでしょうか。

準備しておきたいこと・考えておきたいことをまとめましたので、参考にしてみてください。


目次

- 高齢によるリスクをお互いに確認しておく

- 「もしもノート」を作成する

- 介護への備え

- ダブルケアの可能性も考える


高齢によるリスクをお互いに確認しておく

まずは両親と一度、高齢によるリスクを再確認するのが良いでしょう。

特殊詐欺などの場合、高齢者に子どもを装って電話をする手口が多いため、こうした被害を防ぐには日ごろから連絡を取り合うことが重要です。

毎朝、毎週、毎月この日に連絡をとると決めておくことで、お互いの状況を確認し合うことができます。特に親が一人暮らしの場合は、孤独死のリスクもありますので、そういった場合は連絡を取り合う頻度を高くした方が良いでしょう。

また、両親の家の電話を迷惑電話に対応した電話機に変えることも検討してみましょう。

迷惑電話対応の電話機では、登録されていない番号からかかってきた電話や非通知の電話に対し、出る前に切る機能やメッセージで相手に名乗るよう通知する機能があり、特殊詐欺以外の訪問販売などの迷惑電話にも対応することができます。


 

「もしもノート」を作成する

次に、もし何らかの病気を患ってしまったときにどうするのかを、ノートなどにまとめておくことも大切です。急な入院が必要となった時に慌てないように、高額療養費限度額認定証の申請方法や加入している生命保険の保険金申請方法、連絡をとるべき人とその連絡方法、万が一の際の延命治療の希望などを書いて残してもらうのです。

これは一般的には「終活」と呼ばれる分野ですが、高齢者に限らず、若い方も「もしもノート」などのようにまとめておくといざというときの助けになります。

「終活」というと高齢の親にとっては「もうすぐ死ぬから、ということか!」と反感を招いてしまう可能性がありますが、「もしもノート」であればあまり抵抗なく受け入れてもらえるでしょう。

 

介護への備え

介護が必要となった時には、いつ誰にどのような相談をしたらいいのかをあらかじめまとめておくことも大切です。

例えば脳血管障害で麻痺などの障害が残り、日常生活で介護が必要な状態になった場合、リハビリをしながら医師と話し合った上で症状固定(治療を続けてもこれ以上回復が見込めないこと)の時期が決まります。症状固定の時期が決まり次第、退院調整とともに介護保険の申請を行い、帰宅後すぐに介護保険による住宅改修や訪問介護などのサービスが受けられるようにすることで、スムーズに在宅生活ができるようになります。

ほとんどの場合は病院の相談員主導で進めてもらえますが、事前にこういった知識があると、実際の場面でも冷静に対処することができるでしょう。

また、親の介護が必要になった場合、子どもであるあなた自身が親の元に駆けつけて手続きの手伝いや介護の体制を作れるように、介護休暇を取得できるかどうかを会社に確認しておくことも必要です。

 

ただ、どのような「もしも」の際に、どのような公的サービスが利用できるのかは社会福祉士などの専門家でないとわかりません。そういった話し合いをする場合には、社会福祉士と相談しながら進めていくとスムーズな話し合いができるでしょう。

また、「もしも」の際に「気軽に相談できる専門家がいる」という状況を作っておくことも安心につながります。

 

ダブルケアの可能性も考える

昨今では高齢出産が増えており、育児で忙しい時期に親の介護が必要になってしまうこともあります。子どもと親の面倒を両方見なければならないため、「ダブルケア」と呼ばれています。

例えば一人暮らしの親の介護が必要になってしまった場合、自宅に引き取って育児をしながら介護も行うダブルケア状態となる可能性が高まります。

子どもが成長していく姿を見る育児とは反対に、介護は親が衰えていく姿を見せつけられることになります。特に認知症を患ってしまった場合、日に日にできることが少なくなっていく親を見ることになるため、精神的につらい状況となります。親は最後まで自分が世話をしたい、という方もいますが、きれいごとだけでは済まないのが認知症介護です。

育児において保育園に子どもを預けるのと同様に、介護においてもデイサービスなどの施設を活用して入浴の介助の手間を専門家に委ね、ケアマネージャーと上手に連携して、家の中だけですべて完璧にこなそうとしないことがダブルケアのポイントです。


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おわりに 

高齢になると、様々な問題が出てくる可能性が高くなります。親の状況を定期的に確認しながら、事前にあらゆる可能性を検討しておくことで、離れて暮らす親に何かが起きたときに適切な対処ができます。まずは、電話で様子をうかがうことから始めてみましょう。

「もしもノート」を専門家の知恵を借りながら作りたい、いざというときに頼れる社会福祉士などの専門家を知っておきたい、という方はうららか相談室のオンラインカウンセリングを活用してみてください。

 

(参考文献)

※1 厚生労働省 人口動態統計年報 死因順位より https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/deth8.html(参照 2020-02-05)

※2 ニッポンドットコム "高齢者を食い物にする特殊詐欺:19年上半期の被害額は前年比2割減の146億円" https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00519/(参照 2020-02-05)

このコラムを書いた人
社会福祉士
機能不全家族、きょうだい児、アダルトチルドレン、貧困、DV、精神障害などの自身の経験から、ピアカウンセラーとして活動。社会福祉協議会での生活困窮者支援、特別養護老人ホーム・地域包括支援センターでの高齢者福祉支援を経験後、社会福祉士として独立。現在は小学生の子の子育てをしながら、名古屋市で借金、生活困窮、家計、精神障害、親子関係、介護、育児(金銭教育)などの個別相談・セミナーを行っている。
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